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藤井裕久さんのご講演

昨日、ラッセホールで民主党県連主催の「社会保障と税の一体改革」対話集会が開催され、参加してきました。集会は、党の税調会の会長である藤井裕久衆議院議員のお話がメインで、その後、質疑を行うという形です。せっかくですから、少し紹介します。

冒頭に、藤井先生が言われたこと。「川は源流まで遡れ、海は渡れ。」
かつての高度成長期、めちゃくちゃ働いてきた。ヨーロッパに追いつけとがんばって働いた。そうしたら、日本は、S43年にGNPでドイツに勝った。その前のS42年にはフランスに、S41年にはイギリスに勝っていた。みんな夜中まで働いた。マスコミは当時、「くたばれGNP]と言っていた。佐藤・田中内閣で秘書官を務めていた。お二人とも、社会保障は決して得意な分野ではなかったと思うが、S42年ごろに老人医療費の無料化が始まり、その後、医療保険の家族の窓口負担が5割から3割になった。
今と比べると、2008年に北京オリンピック、2010年に上海万博と、ちょうど40年くらいの差で中国の感じか。
社会保障というのは、社会の仕組みであって、経済が悪くなったからちょっとやめようかというものではない。幸いにして、水田三喜男、三木、福田の各氏と謦咳に接することができた。その際にも、経済が悪くなるときもあったが、高度成長で埋められるのではないかと思っていた。そうすると、1ドル360円の時代がなくなり、S48年の同じ年に、1バレル2ドルの値段も崩れた。(今は、1バレル100ドルとなり、50倍であるが。)このため高度成長ができなくなってしまった。大平正芳が、消費税の概念を出してきた。彼は政策通である。水田三喜男は、付加価値税なくして福祉社会はうまくいかないということを打ち出した。安定性があり、経済が悪くなっても税収が入るからである。この考え方は”水田ism”と呼ばれた。ひとつは、所得税・法人税が景気に左右されるため安定しないこと、もうひとつは、公平性があること、ただし逆進性対策は重要であるが、一律にいただくことは必要。脱税があっても、宗教法人でも税収が得られる点がいい点。大平さんの政策は失敗になったが、次に中曽根さんが「売上税」として出してきた。一般財政の穴埋めのためであった。S61年に、「絶対にやらない」と断言した後、選挙で大勝した。選挙で勝ったことで、方針を変えては絶対にいけない。これは、野田さん(野田総理)にいつも言っていることだ。ウソはつくなと共に、絶対守りなさいと言っている。結局、竹下さんが導入した。竹下さんの時、私(藤井氏は)は政務次官であった。やらせは絶対にいけないこと。全国を回りなさいと言われた。竹下さんは根回しがうまいと言われたが、そういう全国を回っての会をずっとやってきた。(3公社5現業を民営化した土光会長。)その後、橋本さんが3%を5%に上げたと言われているが、実際には、村山富市さんである。5%に上げた当時は、バブル崩壊の時で、経済は最悪の状況だった。それでも選挙は負けていないのである。橋本さんが選挙に負けたのは、彼がぶれたからである。だからいつも言っている。ウソはつくな、ぶれるな、と。野田さんは守ってくれている。
消費税を導入するにあたって、必要となるのが、ひとつは国会議員の首切り、ふたつめに目的税化すつことである。小渕内閣の時、自由党で連立内閣となっていた。森善郎と冬柴さんが幹事長をやっていたころ。比例区から20名を切るのに公明党は賛成してくれた。その後、小泉純一郎は、上げないと言った。バックにいたのは、塩川正十郎であり、もう1年続いていたらわからなかったと思う。福田さんの時に「社会保障国民会議」麻生さんの時に「安心保障国民会議」で議論が行われた。世界の155か国で付加価値税が採用されているが、採用していないのは、アメリカと石油産出国だけである。アメリカは、州の中で小売りの税がかけられている。
導入されている155か国でも、完全目的税化されている国はない。何に使うかを会計上、法律で制限する。目的の3つは高齢者であることを発言したのは事実。戦後の日本で、がれきの中から今の社会を創ってきたのはお年寄り。しかし、この上に子育てを加える。医療・介護・年金・子育ての4つが目的になる。物品税は、何を課税するかで、利権が発生してしまう。竹下さんの時になくなって公平になった。たとえば、総桐のたんすは税がかからないが、三方桐ダンスは課税する、など。外食は課税するとすると、牛丼はどうする?など。フランス、ドイツが始めたものだが、減免税はまちがいである。今も、その争い(何を課税で何を減免か)が絶えないから。線引きが非常に難しい。また、中小企業にとっても、複数税率は負担である。
中小企業にとって、消費税は消費者が負担するものなのに、原料で消費税を払っていても、販売時に付加できずに直接税になってしまっている点は問題である。
政局の上での「反対」を除いては、反対派の意見も取り入れて、議論は尽くしたと思っている。増税は悪税であってもやらなきゃいけない時がある。このままいくと、国債の発行は増え、いつか金利が急上昇する。経済のいい時に金利が上がるのはいいが、悪い時に上がるのが絶対にいけない。
使う目的は4つにしか使えない。ごまかしてほかに使うんじゃないかと言われるが、それにしか使えなくする。スウェーデンは25%まで徐々に上げていって、その2年後に軽減税率を創った。ノルウェーはいきなり20%(?)に上げた。
経済の問題というが、今の時点での経済ではない。インフレの時がいいという人もいるが、これは最悪である。便乗値上げが起きる。経済が安定しているときが好ましい。イタリアは、経済がマイナスであるが、やろうとしている。
住宅については、さすがにたとえば3000万円だったら300万円になるので、これは何か考えないといけない。財政支出にするかどうか、今、検討が進んでいる。
渡辺美智雄に言われたことを、私は今、実行している。資料の説明は若い人に任せ、こうして全国を回っている。2年くらいあるから回れると思う。
現在、大学で教えてもいる。講座をもっている。学生には、”君たち、本気で年金がもらえなくなると思っているのか?”と問うている。年金が破たんすることは国家の破たん。国が破たんすると思う?維持するための方法のひとつは、このまま借金をずっと続けていくこと。そうすると、いつか南欧のようになるよ。2つめは、保険料を上げていくこと。これは働く人だけの負担になる。3つめが消費税。と、学生に問題を出すと、考えてきて3を選んでくる。このことを、一般の人にわかってもらわないといけない。

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