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脳梗塞に対する再生医療について

先日、まとめの活動報告の中で、医療産業都市の一般公開の中でのセミナーについて、また、報告します。と、言っておりました。あまり遅くなると、ただでさえ難しかったのが全部年の瀬と共にクリアされそうなので、必死に思い出して報告してみます。
ちなみに、神戸新聞NEWSに、非常にわかりやすく解説がありましたので、ご参考まで。
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/0004626620.shtml
「脳梗塞に対する再生医療の現状とその未来」というタイトルで、11月5日、先端医療センターの田口先生がご講演されました。

脳梗塞による世界の患者の死亡は、年間500万人。日本では、27万人に発生し、13万人が死亡する。患者数は279万人。3時間以内に血栓を溶かす血栓溶解の手法が知られているが、それでも3%の患者しか救えない。
寝たきりの人の1/3は脳卒中が原因といわれる。

1.脳卒中、認知症予防
血管表面の細胞は入れ替わっているため、メンテナンスが必要。造血幹細胞が関与している。
脳梗塞を起こしやすい人は幹細胞が少ない。
1年間の追跡調査によると、幹細胞が少ない人は認知機能が進む傾向。多い人はほとんど変わらない。糖尿病性腎性、透析患者の予後の悪化、死亡率など。

・幹細胞の少ないのは、骨髄からうまく幹細胞が動員できない OR 骨髄の老化、枯渇など
・赤ちゃんねずみの骨髄を高齢者ねずみに移植すると、高齢者ネズミの末梢血の中の5%が赤ちゃんネズミに由来する細胞になっていた。
・移植していない高齢者ネズミに傷をつけるとあまり反応がないが、移植ネズミでは毛細血管が現れてくる。
・脳梗塞を起こさせると、移植ネズミのほうは、移植していないものに比べて死亡率が低い。
・脳梗塞を起こさせると、移植ネズミのほうは、移植していないものに比べて脳梗塞が小さかった。

予防の手法として考えられるもの
 ①臍帯血を保存しておく②若い間に骨髄を冷凍保存しておく③iPSから自己造血系幹細胞を作る

2.脳卒中治療
・これまで、神経幹細胞(動物)を移植しても、症状の改善がみられなかったことが報告されている。(ハーバード大学で豚で試験)
・それで、神経の再生には、まず血管の再生が必須であることに着目。
・発生の段階で、まず血管を再生させる。
・血管を再生すると、脳組織の再生が促進される。
・ねずみで実験を行った。脳梗塞を起こしたネズミに、骨髄から細胞をとって治療を施した。改善がみられた。

臨床研究が始まっており、数名の患者さんで症状の改善がみられた。

<臨床研究対象の人>
・心原性脳塞栓症(心臓の血管の壁がはがれて脳にいき、脳梗塞を起こしたもの)
・20才〜75才
・7日目のNIHSSが10点以上(*川原田注 すみません。メモしていなかったのですが、患者さんの状態のことだと思います。ネットで調べるとNIHSS採点表というのがあります。)

現在、臨床研究の対象となる患者さんから骨髄を採取し、CPC(Cell Prosessing Center)の中で、特殊な技術を持った人が、骨髄から必要となる骨髄単核球を分離し、患者さんに投与している。

普通の病院でも分離ができるような装置が求められる。

現在は、臨床研究として実施している。
治療費は、先進医療で認可が出れば30万円くらいではないか。

会場から質問があって、以前に脳梗塞を起こした人でも施術可能かというものでしたが、「脳梗塞を発症してから時間が経過すると、神経幹細胞がだめになっていくので、2週間くらいまでに施術する必要がある。」ということでした。

先生が例に出された患者さんのケースでは、本来、もっと動かなくなるような症状であったのに歩いて帰ることができた、というものもありました。

遠いところにあった再生医療がぐんと近くなった気がします。今後に期待したいですね。

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