八幡平〜地熱発電所
最終日、八幡平市に。最初に小さい水車を使った小水力発電の現場を見学してから、六甲山のような山道を登って(車です、もちろん)日本で最初の商業ベースの地熱発電を行った松川発電所を見学しました。山道の途中から、窓を開けると硫黄のにおいが立ち込め、あちこちで蒸気も噴出していて、温泉有りますーという雰囲気です。地熱発電は、地下深くしみ込んだ雨水が、その下にあるマグマによって熱せられ、熱水の層になっているものを、井戸を掘ることで蒸気として噴出させ、蒸気を利用してタービンを回し、発電するもの。
燃料は、地下にあるマグマと水という自然エネルギー利用の発電であり、太陽光や風力のように晴れや雨に関係なく安定的に発電できるのが特徴。松川発電所は1966年に営業運転してから45年間発電を続けており、発電容量は23500kwになります。最初に井戸を掘り、蒸気を取り出す設備や発電機、冷却システム等のイニシャルコストに維持費がかかり、それを割り戻して電気代が決まります。井戸はある程度経過すると使えなくなるため、近傍に新しい井戸を掘る必要があり、現在も、現行の井戸の近傍に新たな井戸を掘削している途中ということでした。
八幡平市では、さらに、日本重化学工業、地熱エンジニアリング、JFEエンジニアリングと4者で提携して、地熱発電事業の事業化検討に関する協定をこの7月に結んでおり、2015年に出力7000kwの発電設備となることを目指して、調査などが行われています。日本重化学工業は、最初に松川発電所を建造した会社で、当初、合金鉄の製造に多量の電気を消費することから、安い電力を求め、自家発電として使用していたということ。(現在は東北電力)NEDOの事業の一環ですでに調査が行われましたが、3本の井戸では、予想より蒸気量が少なかったということです。こうして蒸気量が十分かどうかという点に加え、国有林の保安林をどうするか、送電線の設備をどうするか、また、先日成立した再生可能エネルギー特別措置法案の施行時に、地熱発電の買い取り価格がいくらに設定されるか、などが課題となってくるということでした。
写真は、①②小水力発電の水車 ③水車に流れる川ですが、雪解けの冷たい水が直接田んぼに行かないよう、水温を上げるため面積を広げています。④松川発電所とわたし(いつも、写真に本人が写っていない!といわれるので。。笑)⑤松川発電所の冷却塔⑥近傍を流れる硫黄の赤川⑦井戸
参考)日本地熱学会のHPより日本の地熱エネルギー
http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/jgea/main_a.html
東北福祉大エネルギーセンター
2日目は午後から仙台市に移動し、仮庁舎としている小田急ビルの中にある仙台市の環境局で環境施策について説明を受けたのち、東北福祉大学のエネルギーセンターを見学しました。最初に復興の状況などのお話を伺いましたが、震災の廃棄物について、神戸市からノウハウの支援を行ったということでした。また、廃棄物資源循環学会という学会があって、京大の先生から支援の申し出があり、アドバイスに来ていただいようです。処理量は135万トン、H25年度末までには終了のめどが立ったということ。半分がリサイクルされるというのも驚きましたが、こうしたアドバイスや支援もあって進んだのでしょうか。
市役所を出て、東北福祉大学エネルギーセンターを見学しました。いただいた資料からシステム構成図を添付します。NEDOの新電力ネットワークシステムの実証研究の一家として、東北福祉大学、仙台市、NTTファシリティーズが共同で行ったものを、そのまま東北福祉大学(と周辺の福祉施設など)がエネルギーとして使用している、というものです。メインはガスエンジンでの発電ですが、その際の排熱を利用したお湯は、地中に入れた保護つきの配管で隣接する介護施設で利用されます。ガスエンジン2基と排熱利用の給湯システムのほか、試験用に寄贈されたという燃料電池、太陽光パネル、それらを蓄電・制御するシステムなどが総合的に実証実験として行われ、その後は、実稼働しています。計画当初よりガスが大幅に値上がりしたため、発電にコストがかかり、深夜電力をうまく活用するなどコスト面での課題がありそうでしたが、排熱を利用した給湯は、地中を使うと温度が下がらず、90℃のお湯も隣の施設で1℃くらいしか違わす、排熱利用という点で特記できるものがあります。
郡山〜ニコニコこども館
福島県、郡山市では、市役所で子育て支援施策(第2次エンゼルプラン)について説明を受けたのち、隣にある「ニコニコ子ども館」(こべっこランドに近いです)を見学しました。エンゼルプランは、神戸市でいう神戸っ子すこやかプランに相当します。聞いた中で特徴的だなと思った点です。
一般会計からの子育て予算の中からすこやか子育て基金として3億円拠出し、別立てにして、様々な積極的支援を行う点。子育て支援を強調できる。認可外保育所にも予算配分をして支援(70か所すべてではないけれど、市が確認した保育所に支援。34か所で年間3400万円、数字はちょっとあいまいです。)ニコニコこども館での一時保育は1回¥500で4時間半の安さ。また、遊びにきている親子も多く、ボランティアも含め保育士さんの数は多い。児童手当などの手続き事務もこの館で行われていて、すべて合わせた1日あたりの利用者は800人という高利用率。郡山は福島第一原発から60kmのところにあり、子どもたちは外での遊びに制限がかかっていました。
パンフレットから、
全体像(廃止になったホテルを買い取った建物)
フロアの構成
ふれあい教室(このフロアのみ教育委員会が運営。不登校の子どもの教室や相談の部屋があります。)
府中メディカルプラザ
先週、8月31日〜9月2日の3日間にわたって、福祉環境委員会での管外視察に行ってきました。府中〜郡山(福島)〜仙台〜八幡平という行程で、台風と重なった最終日の花巻からのフライトは、花巻に引き返す可能性もあります、とアナウンスされての搭乗となりました。結果はセーフでよかったのですが、最後の着陸はかなりスリルでしたね。
最初の日は、2つの総合病院が入る「府中メディカルプラザ」を視察しました。「多摩総合医療センター」と「小児総合医療センター」というどちらも都立の病院が、隣り合わせて建っていて、中で行き来ができるようになっています。
昨年の9月にオープンということで、建築や機材はもちろん、最新の病院運営の思想の下に建設されていることが随所にみられます。重点的に3つの医療、救急、周産期(産科)、がんに力を入れている点など、今年7月にオープンした中央市民病院と共通する点も多いですが、2つの病院の中央に共通の総合周産期母子医療センーが設置され、多様なICUが設けられていたり、小児ドクターカーを有するなど、隣に小児科の総合病院が併設されていることが大きく違っています。
救急医療は、東京ER・多摩として、多摩地区の人口400万人の救命救急を担っています。神戸の人口が150万人だから、400万人ってすごい!!ですよね。
小児救急の外来では、全体を見渡せるようにガラス張りの壁になっていて、ドクターはその中から緊急度の高い子どもから先に診療させたり、待っている間に容体が悪くなる子どもがいないかチェックしたりと、ケアをしながらトリアージ(救急医療で、重症度と緊急性で優先度を決める)が行われています。
小児病棟には、200床あまりの精神科専用の入院病床があり、驚きました。子どものこころの診療が重点的に行われているようでした。
また、「サテライトファーマシー」というものが設置されていて、薬剤師さんが手術や点滴に使われる薬剤の調合を、使われる手術室や病室の近くで調合していました。知らなかったのですが、点滴に使われる薬剤などは、普通は看護師さんが作っているそうですね。今後はこういう、病棟での薬剤師による薬剤調合が増えていくのでしょうか。